Koichi Yamamura Gallery

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©KOICHI YAMAMURA GALLERY 2023

Exhibition

Rieko Tsuji
All is Love

Opening Reception February 1(Sat),2-5PM

辻 梨絵子個展「All is Love」

会期:2025年2月1日〜2月16日

「All is Love」は、ジェンダー平等とクィアな人間関係について言及したビデオインスタレーション作品である。
作家自身が手縫いで制作した8体のぬいぐるみたちが、様々なジェンダーアイデンティティやセクシャリティを持つ人々のアバターとなり、愛や繋がりについてディスカッションを行う。
性別などから期待される役割やステレオタイプを見直し、より居心地のよい他者との関わりを築くための思考の場を鑑賞者に提供する。

作家とディスカッションの参加者は、事前に対話を重ね、参加者がどのようなアバターとしてのぬいぐるみになりたいか、どのようなファッションを身に纏いたいかなどのイメージを共有した。ぬいぐるみの素材には、ベルリンのクィア・コミュニティにて催されたクロージング・スワップという洋服の交換会で作家が手に入れた古着が使用されている。誰がネクタイを締めても良いし、誰がスカートを履いてもいいというそのイベントでは、性別によって着るものを制限しないとい うアイディアが重視されている。

また、リサーチを進めていく中で、トランスジェンダーの人々が身体的な特徴を変更するために行 う手術についての話を聞いた作家は、その過程を追体験するという目的で、もともと形ある素材 を切り、針と糸を使いリクエストに応じた姿に合わせて作るという制作プロセスを選択した。
また、女性的な印象を持つ手芸・裁縫に対する制作過程に含め、作品を可愛らしいビジュアルに 落とし込むことは、クィア・カルチャーやフェミニズムを語る女性作家にしばしば向けられる、 中性的で、力強いロールモデル的なキャラクター像への期待にあえて応えないという試みがある。
タイトルの「All is Love」は、作家がクロージング・スワップにてある人から譲り受けたパーカーに描かれていた文字からとられている。自身の属するカテゴリーを決めず、物事の「らしさ」について掘り下げる作家の活動は、人々に多角的な愛のあり方について問いを投げかける。

辻さんが美術の中でも特に影響が受けてるのは2012年10月27日東京都現代美術館の展示会
フランス人アーティスト、セレスト・ブルシエ=ムジュノの作品だ。

水に浮かぶ磁器のボウルが水面をゆっくりと循環しながらカチャカチャと音を立て、予想外の音楽性を持つパーカッシブなサウンドスケープを生み出す。フランス人アーティスト、セレスト・ブルシエ=ムジュノは、この建築的特徴であるガゼイションプールを屋内に持ち込み、「一種の夢」と表現するものを創り出した。「ボウルは目に見えない力によって動かされ、水の存在は魅力的です。それは物体の間に完全に自然なつながりを生み出します。不確実性と浮遊感の間にあるこの種の状態に自然に惹かれます。」サウンドスケープ概念

 サウンドスケープは、音を風景として捉える特定の音や環境といった対象を指し示す言葉ではなく、環境の音を人々がどのように知覚・理解するかに強調点を置き、音と人間環境との間に取り結ぶ関係性に注目する概念である。すなわち、辻は自身中で生まれた私欲的な感性を形式に表見している。

辻梨絵子 Rieko Tsuji

1991年東京都生まれ。東京都を拠点に活動。
2019年東京藝術大学大学院美術研究科グローバルアートプラクティス専攻修了。
在学中にチューリッヒ芸術大学(2014年)、バウハウス大学(2017年)へ交換留学。
これまでYale Union(2019年・アメリカ)、Arteles Creative Center(2016年・フィンランド)などにてレジデンスプログラムに参加。 

対話やインタビューをもとに、人々の多様なつながりについてリサーチし制作を行っている。近年は養子縁組やゴッドペアレント制度など、血縁関係のない家族の在り方についてのプロジェクトに取り組む。主な展覧会に、「微粒子の呼吸」(2024、トーキョーアーツアンドスペース本郷)、「ピカたちの結婚」(2022、soco1010/東京)など。