Rieko Tsuji
“All is Love”
1, February, 2025
- 16, February, 2025
Opening Reception: Feb.1(Sat), 2–5PM
「All is Love」は、ジェンダー平等とクィアな人間関係について言及したビデオインスタレーション作品である。
作家自身が手縫いで制作した8体のぬいぐるみたちが、様々なジェンダーアイデンティティやセクシャリティを持つ人々のアバターとなり、愛や繋がりについてディスカッションを行う。
性別などから期待される役割やステレオタイプを見直し、より居心地のよい他者との関わりを築くための思考の場を鑑賞者に提供する。
作家とディスカッションの参加者は、事前に対話を重ね、参加者がどのようなアバターとしてのぬいぐるみになりたいか、どのようなファッションを身に纏いたいかなどのイメージを共有した。ぬいぐるみの素材には、ベルリンのクィア・コミュニティにて催されたクロージング・スワップという洋服の交換会で作家が手に入れた古着が使用されている。誰がネクタイを締めても良いし、誰がスカートを履いてもいいというそのイベントでは、性別によって着るものを制限しないとい うアイディアが重視されている。
また、リサーチを進めていく中で、トランスジェンダーの人々が身体的な特徴を変更するために行 う手術についての話を聞いた作家は、その過程を追体験するという目的で、もともと形ある素材 を切り、針と糸を使いリクエストに応じた姿に合わせて作るという制作プロセスを選択した。
また、女性的な印象を持つ手芸・裁縫に対する制作過程に含め、作品を可愛らしいビジュアルに 落とし込むことは、クィア・カルチャーやフェミニズムを語る女性作家にしばしば向けられる、 中性的で、力強いロールモデル的なキャラクター像への期待にあえて応えないという試みがある。
タイトルの「All is Love」は、作家がクロージング・スワップにてある人から譲り受けたパーカーに描かれていた文字からとられている。自身の属するカテゴリーを決めず、物事の「らしさ」について掘り下げる作家の活動は、人々に多角的な愛のあり方について問いを投げかける。
作家が現代美術に興味をもつきっかけになったのは、2012年10月27日東京都現代美術館の展示会
フランス人アーティスト、セレスト・ブルシエ=ムジュノの作品だ。
水に浮かぶ磁器のボウルが水面をゆっくりと循環しながらカチャカチャと音を立て、予想外の音楽性を持つパーカッシブなサウンドスケープを生み出す。フランス人アーティスト、セレスト・ブルシエ=ムジュノは、この建築的特徴であるガゼイションプールを屋内に持ち込み、「一種の夢」と表現するものを創り出した。「ボウルは目に見えない力によって動かされ、水の存在は魅力的です。それは物体の間に完全に自然なつながりを生み出します。不確実性と浮遊感の間にあるこの種の状態に自然に惹かれます。」
サウンドスケープ
音を風景として捉える特定の音や環境といった対象を指し示す言葉ではなく、環境の音を人々がどのように知覚・理解するかに強調点を置き、音と人間環境との間に取り結ぶ関係性に注目する概念である。
もっとも作家自身が影響受けたのはSophie Calleの作品だ、Sophieの自身が定めたルールに基づいて他者の人生に向き合った作品すなわち、辻は自身の中で生まれた私欲的な感性を形式に表見している。